专利摘要:
立体視3D画像における最適な偏光保存、および2Dと3Dの両方のシステムにおいて輝度、均一性およびコントラストを上げるように改善された光の制御を提供する。開示するスクリーンは、最適な利得特性を維持しながら、投射装置からの光を拡散領域内に位置する観察者に向ける。より具体的には、所定の投射方向から正面投影型スクリーンのある領域に入射する光は、設計された表面によって、実質的に1回の反射を受けた後、所定の拡散領域へと反射される。生成カーネルによって構成される設計表面は、3Dアプリケーションの偏光を保存しつつ、拡散領域内の観賞角度の範囲内に、好適な利得プロファイルで光を最適に拡散するのに使用される。このようなスクリーンを、適合する偏光分析眼鏡と共に使用することにより、どの観察点から見ても非常に低いクロストークとすることができる。
公开号:JP2011511310A
申请号:JP2010544481
申请日:2009-01-28
公开日:2011-04-07
发明作者:コールマン、デーヴィッド、エー.;シャープ、ゲイリー、ディー.
申请人:リアルディー インコーポレイテッドRealD Inc.;
IPC主号:G03B21-60
专利说明:

[0001] 本出願は、2008年1月28日出願の米国仮出願第61/024138号明細書、発明の名称「POLARIZATION PRESERVING FRONTPROJECTIONSCREEN」に関連し、また優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。]
技術分野

[0002] 本発明は、概して正面投影型スクリーンに関し、特に、偏光状態が保存されるように光の拡散を最適に操作する正面投影型スクリーンに関する。また、特定の投影装置および観察角度において画像の明るさ及びコントラストを最大にすることができる正面投影型スクリーンに関する。]
背景技術

[0003] パッシブ型の偏光分析眼鏡を使用した立体視3Dシステムにおいて、スクリーンはシステムを構成する必要不可欠な要素である。スクリーンで偏光解消が生じると、片目に向けた映像が部分的に反対の目に伝わってしまうクロストークという現象が起きる。クロストークは、いわゆる「ゴースト像」として現れ、立体視体験の満足度を低下させ、目の疲れを引き起こす。したがって、照明および観察角度の極限状態においてもクロストークが非常に低いことが望ましい。]
[0004] 例えば、二次元の映画で使用されている周知の正面投影型スクリーンは、実質的にランバート散乱体であるといえる。このような周知のスクリーンは、統計学的に見て表面が平坦ではないため、偏光保存特性が非常に低く、有効光効率も低い(すなわち、全積分散乱(TIS)が高く、角度空間における光の利用率が低い)。]
[0005] 立体視3D偏光保存スクリーンの製造方法として、PVC基板上に、アルミニウムフレークを含んだ透明な結合剤を吹きつけ塗装する方法が知られている。このような方法で形成された統計的なスクリーン表面では、スクリーンの指向性および偏光といった利得特性の制御に限界がある。さらに、塗装の工程においてしばしば、分解可能な構造(例えば、スパークル)が生じ、質感のような不均一性の問題を引き起こす。このような「シルバースクリーン」は多くの場合、破損し易く、軽い研磨工程であっても十分な耐久性がない。]
[0006] ランバートスクリーンでは、観察される明るさが均一になるが、投影光の利用率が低い。すなわち、入射光の大部分が視野の外に散乱されてしまい、システム効率が低くなってしまう。さらに、散乱された光が、一部、スクリーンに再び向かってしまうことにより、コントラストおよび彩度が低下してしまっていた。]
[0007] 上記のような問題から、入力状態における偏光が正確に保存され、観察角度の範囲内に光を最適に拡散するように設計された正面投影型スクリーンが求められている。]
発明が解決しようとする課題

[0008] 本開示は、設計された反射拡散体に関し、特に、正面投影型システムに使用されるスクリーンに関する。本開示のスクリーンによれば、立体視3D表示における最適な偏光保存が可能となり、2Dシステムおよび3Dシステムの両方において、明るさ、均一性およびコントラストを向上させるように光制御をおこなうことも可能となる。また、本開示は、最適な利得特性を維持すると同時に、所望の場所に光を向けることを目指す。]
[0009] 本開示によれば、設計された表面を使用して、偏光状態を保存すると同時に、適切な利得特性をもち所定の拡散領域で観賞角度の範囲内に照明光を最適に分散させている。このようなスクリーンを、適合した偏光分析眼鏡と共に使用することにより、どの観察点においてもクロストークを大幅に低減することが可能である。]
課題を解決するための手段

[0010] 本願は、偏光状態を保存するように所定の照明条件で、所望の拡散領域に光を供給する偏光保存反射拡散体を提供する方法を開示する。実質的に全ての視点を包括する観賞領域が、拡散領域内に位置する。]
[0011] 本開示の一側面では、本願は、投射装置の照明条件に応じて、観客席における所望の観賞範囲または観察領域に光を提供する偏光保存正面投射型スクリーンを提供する方法を開示する。この方法では、照明および観察角度の限界点に対応する軌跡(領域)を決定し、その領域では、実質的に互いに直交する偏光状態を観客席における全ての観賞地点に提供することができる。また、複数の反射生成カーネルを提供し、この複数の反射生成カーネルを基板上に配置する。]
[0012] また、本開示の他の側面では、一連の設計規則を用いて生成関数を製造し、表面の形状的特徴を実現する。生成関数は、(一つまたは複数の生成カーネルを含む)微細構造の基本構成単位を提供し、微細構造は、所望の拡散体の(巨視的な)アンサンブル統計をもっている。このような設計によれば、基本的な大きさにおいて統計的に完全であることから、非常に均一な見え方を提供できる。また、設計規則によれば、所定の拡散領域内で実質的に反射が1度のみ起きるように構成可能である。拡散領域は、照明並びに検出/観察の角度の極限に応じて規定される。また、設計規則では、生成カーネルにより、拡散領域の境界において所定角での強度減衰をともなう所定の強度分布(例えば、ランバート的な分布)を、拡散領域に提供可能である。光の効率を最大限にすることができる好ましい実施形態によれば、この減衰は、階段関数で表される。]
[0013] 他の側面については、以下に開示される記載により明らかにされる。]
図面の簡単な説明

[0014] 本開示に係る典型的な映画館の側面を概略的に描いた図である。
本開示に係る映画館を上から見下ろした様子を概略的に描いた図である。
例示される立体視3D映画投影システムの動作を概略的に示した図である。
従来のシルバースクリーンの偏光保存性能を観賞角の関数として表わしたグラフを示している。
従来のシルバースクリーンの偏光保存コントラスト性能を観賞角度の関数として表わしたグラフを示している。
従来のシルバースクリーンの利得曲線を観賞角度の関数として描いたグラフを示している。
本開示に係る、前方左の席および後方左の席から、スクリーンの周囲をトレースすることにより規定された観客席の特定の場所における観賞領域を描いた極グラフを示している。
任意の映画館についてサンプルした観賞領域を描いた極グラフを示している。
本開示に係る、ファセット入射角の関数で表される、円偏光または最悪の条件の方位角での直線偏光の場合のコントラスト比のグラフを示している。
本開示に係る、直線偏光の場合のコントラストと、円偏光の場合のコントラストとの違いを描いたグラフを示している。
本開示に係る、均一な確率密度関数をもつ凹状構造のグラフを示している。
本開示に係る、均一な確率密度関数をもつ周期的構造を概略的に描いた図である。
本開示に係る、投影装置、スクリーンおよび座席エリアを含む映画館の概略的側面図である。
本開示に係る、拡散領域にのみ光が散乱されるように設計されたスクリーンについての利得曲線例のグラフを示している。
本開示に係る、スクリーン表面の法線に対するファセット法線領域の極プロット示しており、投影装置からの光が実質的に全観賞領域を照明している様子が示されている。
本開示に係る、ガウス表面の例を描いたグラフを示している。
本開示に係る、例示されるガウス表面によって反射された光線の密度を描いたグラフを示している。
本開示に係る、例示されるガウス表面から二重反射を受けた光線の強度をプロットしたグラフを示している。
本開示に係る、ガウス拡散体表面に対する異なる振幅についての一連のシミュレーションをおこなった利得に対するコントラストを描いたグラフを示している。
本開示に係る、ガウスピーク間で様々な間隔を生成した反射条件のプロットをそれぞれ概略的に示した図である。
本開示に係る、二つのガウスピーク間の多重反射が全く起こらないピーク分離を計算した軌跡を描いたグラフを示している。
本開示に係る、様々な高さおよび幅をもつ二つのガウスピークを重ね合わせた場合をそれぞれ概略的に描いた図である。
本開示に係る、シミュレーションしたノイズパターンのグラフである。
本開示に係る、二つのパターンおよび異なる固有サイズで構成される拡散体と、一つのパターンで構成され異なる固有サイズを持たない拡散体との、利得及びコントラストを比較したグラフである。
本開示に係る、重ね合わされた関数を描いたグラフである。
本開示に係る、生成カーネルの例を描いたグラフである。
本開示に係る、二次元のランバート生成カーネルの計算された利得を描いたグラフである。
本開示に係る、生成カーネルの半径方向に平均化した利得を示したグラフである。
本開示に係る、六角形格子の配置例を概略的に示した図である。
本開示に係る、生成カーネル六角形格子のセルの重なりを概略的に示した図である。
本開示に係る、四角形格子のセルの重なりを描いた図である。
本開示に係る、中心をランダム化した六角形格子の概略図である。
本開示に係る、大きいセルの間に分散された小さいセルをもち、格子点がランダム化されている六角形格子を描いた概略図である。
本開示に係る、大きいセルの間に分散された小さいセルをもち、格子点がランダム化されている六角形格子を描いた概略図である。
本開示に係る、水平変位を用いたランダム化を概略的に示した図を示している。
本開示に係る、ランダム化された水平方向変位をもつ表面の場合の、セル中心からセル中心への変位の確率分布を表したグラフである。
本開示に係る、ガウスピークの分離の関数として表された拡散角のグラフである。
本開示に係る、重なっているガウス分布構造の拡散カットオフアングルを描いたグラフである。
本開示に係る、二つのサンプル配置における、設計されたランバート拡散体が重なっている様子を描いたグラフである。
本開示に係る、重なりに対処するために、生成カーネルを事前補正する方法の一つを示した図である。
本開示に係る、ランバート拡散の重なりを事前補正したセルのグラフを示した図である。
本開示に係る、利得プロファイルのグラフである。]
実施例

[0015] 図1Aは、典型的な映画館100の側面を概略的に描いたものであり、図1Bは、映画館100を上から見下ろした様子を概略的に描いたものである。映画館100は、反射型スクリーン110、投影装置プラットフォーム120、および観賞エリア130を備える。投影装置プラットフォーム120は、投影装置121と偏光スイッチ122とを含んでも良い。観賞エリア130には、スクリーンから遠ざかる方向に複数の列を成して座席が設けられていてもよく、観賞エリア130内の異なる位置に座る(または立つ)観察者が観賞するエリアまたは観察者からの見え方を規定している。例えば、第1の観察者は、映画館100の左前方の観賞位置132に位置し、反射光142を受けるようにしてもよい。第2の観察者は、左後方の観賞位置134に位置し、反射光144を受けるようにしてもよい。第3の観察者は、中心の観賞位置136に位置してもよい。] 図1A 図1B
[0016] 近年、偏光技術が発展したことにより、適合する眼鏡に応じて復号されている3D映画が再び注目を集めている。よく知られた3D投影システムでは、直交する偏光状態を利用して、左目および右目にたいする映像を連続して投影している。一つの投影装置プラットフォーム120を使用する3D映画の場合には、投影レンズの後であって投影装置121からの光路中に偏光スイッチ122が設けられている場合がある。このような偏光スイッチは、同出願人による米国特許第4792850号(特許期間満了)広報、発明の名称「Method and system employing a push‐pull liquid crystal modulator」、発明者L.Lipton他、および同出願人による米国特許出願第11/424087号明細書、発明の名称「Achromatic polarization switches」、発明者M.Robinsonに開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。また、二つ以上の投射装置を使用してもよく、一つの投射装置がある偏光状態で左目に画像を提供し、他の投射装置がそれに直交する偏光状態で右目に画像を提供してもよい。従来から使用されている反射型スクリーンとしては、投射装置120からの偏光された光を、映画を見る観察者に反射するシルバースクリーンを含む。]
[0017] 典型的な3D映画システムでは、相対的に光が不足している。観察者に対して14フートランベルトの輝度の場合、3Dモードでは、実質的に低い輝度であるとされる。これは、例えば、連続システムでは、一般的に偏光損失(通常50%より大きい)および時分割による損失(通常50%より大きい)の両方が存在するからである。したがって、このようなシステムでは、利得スクリーンがない状態で、25%を下回る輝度、または、3.5フートランベルトの輝度しか伝達できない。このような問題に対応するため、RealD XLシステムや同出願人による2007年11月28日出願の米国特許出願第11/864198号明細書、発明の名称「Polarization conversion system for cinematic projection」、発明者M.Schuck、G.SharpおよびM.Robinson(参照により本明細書に組み込まれる)が開発され、偏光状態を復元する機能が提供されるようになったが、偏光状態を保存しつつ輝度を上げたいという要求が依然として残されている。]
[0018] 偏光保存を必要とするシステムにおいては、典型的なシルバースクリーンからの全積分散乱(TIS)は、およそ40%であり、効率はさらに下がってしまう。スクリーンの中心に位置する観察位置では、高いスクリーンの利得が得られる(軸上で2.2から2.5)一方、全体として知覚される画像の明るさは、観察角に応じて急速に輝度が減衰してしまう影響を受ける。逆に言えば、マットスクリーンは、高い全積分散乱(>90%)を示すが、角度空間における光の利用率は低くなる。ここに開示される実施例では、高い全積分散乱(およそ85%以上)および拡散角の制御の両方を利用して、画像の輝度を最大にしようと試みている。このようなスクリーンによれば、2Dおよび3D両方での効率を上げることが可能である。]
[0019] 図2は、例として、一つの投影装置(連続)プラットフォーム220を使用した立体視3D映画投影システム200の動作が概略的に示されている。システムが動作する際には、左目の画像202と右目の画像204が、投影装置220から偏光スイッチ222を通して偏光保存スクリーン210に連続的に投影されてもよい。偏光保存スクリーン210は、投影装置220および偏光スイッチ222からの偏光光を、映画を見る観察者240に向かって反射するようになっている。左目の画像および右目の画像を眼鏡250をかけた観察者240が見るが、この眼鏡250によって互いに直交する方向に偏光した光がそれぞれ復号され、被写体206の奥行きがあるように感じる画像が生成される。] 図2
[0020] 一般的に、立体視の見え方の質は、スクリーン210が、投影装置220から伝播される高度に偏光された光を保存する能力に依存する。典型的な映画のマットスクリーン(ランバート散乱体に近い)は、散乱が大きく拡散されてしまうため、一般的に3Dシステムへの利用には適していない。投影光の波長と比較すると、スクリーンの機構の大きさおよび高さの統計、並びに傾斜確率密度から判断すると、このようなスクリーンは、ほぼ完全な偏光解消体であると言える。しかしながら、高品質な立体視3D画像の場合、伝送される画像とブロックされる画像と間のコントラスト比が、少なくとも100:1、より好ましくは200:1あるいはそれ以上のものが使用される。]
[0021] 現在、偏光状態を保存するために、いわゆる「シルバースクリーン」が使われている。シルバースクリーンは、ポリ塩化ビニル(PVC)基板に吹きつけ塗装する工程により製造されており、透明な結合剤に分散されたアルミニウムフレークによって、凹凸のある表面機構が形成される。アルミニウムフレークのファセット(小面)が、基板表面に対してほぼ平行に位置する傾向があり、マットな基板に比べて相対的に高い鏡面反射率および鏡面反射利得を生み出している。暗い外枠を有するスクリーンのある場所で生じたホットスポットや過飽和を緩和しようとする、あるいは、利得を下げようとすると、多くの場合、表示、均一性およびクロストークの間でのトレードオフとなる。例えば、鏡面反射に関係して生じるホットスポットを減少させるために、空気と結合剤との間の境界面をランダムにするマット剤を含ませるようにしてもよい。スクリーン110に垂直な方向(すなわち、図1Bにおける観察位置136に向かう方向)における性能を評価するのに、通常、直線偏光コントラスト比が150:1を上回っているかを測定している。しかし、直線偏光コントラスト比は、主に画像の輝度が減少することが原因となって、角度によって急激に下がる傾向がある。その結果、例えば、観賞位置132および134のように、特定の場所で直線偏光コントラスト比が20:1を下回ってしまう座席が、映画館内にしばしば存在する。] 図1B
[0022] 現在の金属フレークスクリーンに関連する他の問題として、フレークの有限サイズおよび制御できない統計的な配置に起因する「粒子の粗さ」および「スペックル」がある。従来のマットスクリーンでは、非常に小さい散乱中心を高密度に配置することにより散乱を達成している。その結果、拡散体の相対的に小さい空間領域においてエルゴード的な統計性が達成されており、また、見え方についても均一な白が達成されていた。一方、フレークによるスクリーンは、巨視的な構造(1ミクロンより大きい)により構成されており、同様なエルゴード的な統計性を達成すべき領域も非常に大きくなっている。通常、この領域は、人間の目の分解できる大きさよりも大きいので、散乱強度の空間変化が見えてしまう、すなわちスクリーン面の「粒子が粗く」見えてしまう。散乱角が大きくなると、光の強度に寄与しているフレークのファセットの相対数が減少し、その結果、「粒子の粗さ」および「スペックル」の問題が悪化する。]
[0023] フレークスクリーンでは、均一性に対するコヒーレント性の寄与も顕在化する。元の投影光源はインコヒーレントであるにも関わらず、映画館の観客席までの距離を伝播した後の投影光は、高度にコリメートされて、相対的に大きい(数百ミクロンにおよぶ)横軸方向の空間的にコヒーレンスな光となっている。このコヒーレンス長内に位置するファセットが、構築するようにまたは阻害するように干渉して、知覚される光の強度を実質的に色が変化するように変調してしまう。これは、従来のシルバースクリーンの場合、全体として粒子の粗さのあるスクリーン上に重なって現れるぼんやりと色づいたスペックルパターンとして観察される。しかしながら、干渉効果は、非常に敏感に反射角度に依存するので、観察者が頭を動かすとスペックルパターンもスクリーンに対して相対的に移動するように見える。投影光の時間的コヒーレンスは小さいままなので、干渉効果を体験するには、寄与するファセットが、入射波面および反射波面とほぼ同一面に位置する必要がある。すなわち、干渉効果は、再帰反射方向において最大となり、散乱角が大きくなると小さくなる。]
[0024] [偏光コントラスト比および利得]クロストークに関係するコントラストは、透過レンズを通過し観察される光と、遮断レンズを通過し観察される光との明るさの比として表される。偏光コントラスト比(PCR)に作用する変数としては、偏光基底ベクトル、投影形状、観察位置、およびスクリーン上の観察点がある。ランバートスクリーンでは、分子に存在する項は、観察位置によらず実質的に一定である。しかし、従来のシルバースクリーンでは、利得が十分に高いので、分子項の数値の減少が、偏光コントラスト比の角度依存性に大きな影響を与える。スクリーンの特性を示す一つの方法として、偏光感度をもつ双方向反射分布関数(BRDF)すなわち単位立体角あたりの反射率を計測する方法がある。]
[0025] 図3は従来のシルバースクリーンの偏光保存性能を観賞角度の関数として表わしたグラフ300を示している。グラフ300は、コリメートされた光源(波長0.633μmのHeNeレーザー)を使用した従来のシルバースクリーンにおける双方向反射分布関数の測定値を示しており、P指向性をもつ偏光子が照明路に挿入され、検出路にはPまたはS指向性をもつ偏光子が使用される。PおよびSは、それぞれ、グローバル(基板)座標系における入射面に対して平行な単位ベクトルおよび垂直な単位ベクトルである。これは、スクリーンに埋め込まれた個々の反射ファセットに関係するローカル座標系と混同されるべきではない。測定は、スクリーンを垂直方向から−5°の方向(プロットで−10°に対応)に照明し、正反射方向が0°に対応するようにして行う。検出器は、検出モジュールが有限サイズであることによって生じたドロップアウトが起きた面内角度を読み取る。] 図3
[0026] 図3において、PPのプロット302は、利得プロファイルをほぼ追跡する平行偏光子の双方向反射分布関数に対応する。PSのプロット304は、交差偏光子の双方向反射分布関数であり、いくつかの機構の組み合わせを通じてS偏光の散乱角の関数として変換されたパワーに対応する。この項は、散漫散乱成分で期待されるように、角度空間において相対的に「白色」となる。] 図3
[0027] 図4に示すグラフ400は、従来のシルバースクリーンの偏光保存コントラスト性能を観賞角度の関数として表わしたものである。偏光コントラスト比(PCR)402は、観察角度の関数としてプロットされており、図3に示したPPの双方向反射分布関数プロット302とPSの双方向反射分布関数プロット304との比である。入力偏光が入射面に含まれるので、これが、フレネルの法則として見た場合の直線偏光における「最良の場合」のコントラストに相当することは、以下で示される。] 図3 図4
[0028] 図5は、従来のシルバースクリーンの利得曲線を観賞角度の関数として描いたグラフ500である。利得曲線502は、偏光に依存しないランバート散乱体に対するPPの双方向反射分布関数の比を示している。このスクリーンの場合、20°でコントラストが半分になっている。偏光コントラスト比は、利得を追随するので、高い利得のスクリーンは、通常、観察されるクロストークで、最も高い空間不均一性を示す。] 図5
[0029] 図3から図5に示された上記の測定結果は、従来のシルバースクリーンについてのものであり、双方向反射分布関数は、正反射方向において、ほぼ入射角に依存しないと言える。したがって、利得スクリーンの偏光コントラスト比の分子部分は、主に、観察光線と正反射方向とがなす角度差に依存する。正反射方向は、スクリーン表面が鏡であったとした場合に光線が伝達される方向に対応する。] 図3 図5
[0030] クロストーク漏洩項(分母)を決定する因子としては、1)照明光の波長よりも非常に小さい構造による散漫散乱に起因する偏光解消、例として、ナノサイズの粗いまたは鋭いかどをもつ粒子、被膜に含まれ下のマット基板を露出する空洞部が挙げられる、2)結合剤の材料または添加剤の材料の局所的異方性に起因する偏光変化、3)一つの面からの(鏡面)反射における偏光変化、4)照明方向に対して高度に傾斜している表面によって生じる、光学サイズにおける多重反射、といったものが挙げられる。]
[0031] 本開示は、従来から使用されているシルバースクリーンのような統計的表面と関係するコントラストにおける制限を克服することを試みる。本開示による設計された表面は、全反射型の分散手段を用いて、正反射方向で極端な反射率を示さないより望ましい利得プロファイルを提供してもよい。上に列記した機構による寄与を、最低限にすることができる、または実質的に除外することができる。さらに、傾斜確率密度関数を制御することにより、輝度の均一性の改善を通じて、観察者がそれぞれ同様に高コントラストの映像を体験することができる。そして、設計された表面によれば、投影光を座席位置に向けることにより、画像の輝度を向上させることが可能である。これにより、迷光が減少するため、彩度および画像コントラストを更に向上させることが可能である。以下に説明するプロセスにより、可能な限り安価にそして高品質にスクリーン材料を製造することが可能である。]
[0032] 因子1—照明光の波長よりも非常に小さい構造による散漫散乱に起因する偏光解消とは、およそ数ナノメーターから数百ナノメーターのサイズの表面と入射光との相互作用に関連する偏光解消を指す。この因子の寄与は、(投影および観察)角度空間において実質的に白となり、偏光基底ベクトルとは無関係となっている。交差偏光子顕微鏡で観察する場合、この寄与は、背景の「グロウ」となって現れる。実質的に空洞部が形成されていない高品質な(RMSが低い粗さを有する)光学的被膜であって、この水準において構造部を形成しない表面の局所的形状と共形である光学的被膜を使用することにより、上記の寄与を実質的に消去することができる。]
[0033] 因子2—結合剤の材料または添加剤の材料の局所的異方性に起因する偏光変化は、光学的に厚みのある「透明な」被膜に関係している。このような被膜は、異方性をもち、局所状態における偏光を修正する。本開示の教示するところによれば、鏡面仕上げ金属被膜による単一表面反射を利用して、この寄与を消去してもよい。さらに、相対的に薄く塗布され実質的に位相差生じさせない低複屈折の酸化物様誘電体の層を設けるようにしてもよい。]
[0034] 因子3—1つの面からの(鏡面)反射における偏光変化とは、局所的反射表面の表面形状を指し、複素反射におけるS反射とP反射との基本的な違いによる結果である。偏光コントラスト比に関連する損失は、ほとんどの映画館の環境下において、投影−観察間での典型的な角度に対して相対的に無視できるほど小さいが、さらに要求度の高い環境においては、無視できなくなる。金属表面上にさらなる共形誘電被膜を設けることにより、この因子の寄与を更に減らすことが可能であることは、以下で示される。]
[0035] 因子4—照明方向に対して高度に傾斜している表面によって生じる、光学サイズにおける多重反射とは、(ある条件では、最大の方向の)法線方向の入射/観察において起こり得る多重反射を指す。これは、通常、高度に傾斜した拡散構造と関係している。すなわち、1回反射された後、前方に進み続ける光線、または1回反射された後、隣接した構造を通過できなかった光線が、2回目の反射を受ける。これら事象間の平均自由工程は、反射構造の大きさよりも十分に大きく、他の望ましくない(画像の品質に関わる)影響を及ぼす。2回反射された光線は、高度に変化した偏光状態を有しており、偏光コントラスト比を低下させる。そして、このような反射の影響は、偏光基底ベクトルの関数であることが、以下で立証される。]
[0036] [散漫散乱]因子1は、散漫散乱と関係する高い空間周波数に対してほんの少ししか又は全く寄与がない連続マイクロ反射構造を利用することにより、実質的に取り除くことが可能である。理論的には、米国特許第7033736号広報、発明者Morris他(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、全ての反射手段を使用して、散漫散乱の特色を示す任意の傾斜の確率密度関数を生成した設計を利用することにより、部分的に因子1を取り除くことができる。また、これらの構造は、性能を犠牲にすることなくマットな外観を得ることができる、大きさ、場所、傾斜及び高さについての擬似ランダム分布であってもよい。]
[0037] 実用面から、本開示の設計構造(拡散体)は、ある製造環境において、一貫して量産可能なものであることが好ましい。例えば、ロール・ツー・ロールでエンボス加工を施すことによって、本明細書の以下に説明するような生成カーネル(generating kernels)を形成できる。引き続いて設けられる被膜は、好ましくは、同様な高いレベルの品質を有し、蒸着やスパッタリングといった方法により形成される。本開示では、拡散体/スクリーンが、映画館という環境下で使用されていると説明しているが、視覚媒体を見ることができる他の環境下で使用される場合についても考えられており、これらに特に限定されるわけではないが、例えば、ホームシアター、ゲームシステム、ヴァーチャルリアリティ、飛行シミュレーター等で使用されてもよい。]
[0038] 現在の統計表面(例えば、従来のシルバースクリーン)は、望ましくは100%であるが、常に、それを下回る反射曲線因子をもつ。ここで、曲線因子は、全面積に対して金属化された面積の比で定義されており、金属化された面積は、透過率が0であると仮定している。しかしながら、反射構造が部分的に透過可能である場合、他の偏光解消メカニズムが影響するようになる。より典型的に、シルバースクリーンで言えば、被膜中の小さなピンホールが、偏光解消マット基板(多くの場合、白地)を露出させてしまう場合が挙げられる。ピンホールが形成されるのを避けられない場合、高度に吸収可能なベース基板(例えば、マットブラック地)を使用することが望ましく、これにより偏光解消された光が伝達されてしまうのを大幅に低減できる。例えば、グラビア印刷プロセスを使用した製造方法によるスクリーンは、多くの場合、低い曲線因子を有し、偏光コントラスト比が基板による偏光解消に大きく依存する。]
[0039] 実際の使用状況下では、散漫散乱は、しばしば、ホットスポットを取り除こうとして起きてしまう。ファセットが、統計的な表面をもつ基板の表面に平行に配置する傾向があるため、ホットスポットを取り除こうとすると、正反射方向の反射を損なうこととなってしまう。散漫散乱を増加させておくことも可能ではあるが、輝度および偏光コントラスト比を犠牲にすることになる。本開示では、確率密度関数は、正反射方向の付近では均一になるように設計される。このように構成することにより、スクリーンの輝度を上げると同時に、偏光保存が可能となる。]
[0040] [映画館の形状および反射による偏光変化]最良の統計的な表面設計を導き出すのに重要な点として、映画館の館内の形状範囲を完全に理解することがある。現代の映写室では、投影レンズは、スクリーンに対して水平方向の中心に(名目上は)位置し、そして多くの場合、垂直方向には中心よりも上に位置している。オフセット幅は、0からスクリーンの半分、もしくはそれ以上となっている。標準的なスクリーンは、投影距離(throw distance)に(好ましくは)等しいまたはそれを超える曲率半径を有する(垂直方向の)1軸の湾曲を有する。実際にも、これは、1.3を超える利得のスクリーンを使用した場合のSMPTE準拠の必要条件となっている。]
[0041] 典型的な映画館の館内の観覧席エリアにおいて、前方の座席部分は約8〜10°で傾斜がつけられているのに対して、より広い後方の座席部分の傾斜はおよそ20〜22°となっている。前方に位置する座席部分は、典型的には、曲線状に(スクリーンのように)配置されているのに対し、後方に位置する座席部分は矩形に配置されている。投影装置に最も近い列では、後方部の有効幅を増やすために、いくつか座席が追加されていることが多い。また、典型的な映画館では、平均投影比(throw ratio)(スクリーン幅に対する投影距離の比)がおよそ1.8となっている。]
[0042] 定義するという観点で言えば、異なる観察点について、仮想の「理想的な観察者」の視点から性能を表わしてもよい。理想的な観察者は、(利得スクリーンを使用した場合)白フレームの輝度のピークがスクリーンの中心で生じるような座席位置で表現される。他に関係する位置としては、システムが十分に性能を発揮する境界に位置する周辺部の座席がある。これら周辺部の座席は、上記で述べたような他の配置に関する条件と共に、拡散領域を規定する。]
[0043] 任意の21の映画館で検証してみたところ、軸上の光線の垂直方向の平均オフセット角は、下方向に約8°であった。垂直方向のオフセットは、正反射方向を下方に偏らせ、利得スクリーンの場合、輝度を上げるのに役立つ。このように構成することで、適切な設計を行えば、座席の中心位置に理想的な観察者を配置することができる。逆に言うと、オフセットが0の場合、利得スクリーンの最適な観賞位置は、投影装置の位置となってしまい、これは明らかに現実的でない。本開示によれば、投影装置のオフセットおよび理想的な観察者に関係する角度に応じて、拡散角のバイアスを拡散設計に組み込んでもよい。]
[0044] 最悪の場合の観賞角度は、周辺部の座席(または、システムが十分に性能を発揮すべき座席の部分集合)に関連している。これらの座席は、観賞領域を規定している。理想的な輝度及びコントラストの環境下では、本開示によれば、光が拡散領域の外側に投影されることがない。また、最適な偏光コントラスト比は、拡散領域内で反射が1回のみ起こることを必要条件としている。多重反射が起こる場合には、拡散領域外の反射条件下で起こるのが望ましい。]
[0045] 図6(A)および図6(B)は、それぞれ、ある映画館の異なる観察位置における観賞領域をプロットした極グラフ600および極グラフ650である。図6(A)は、観察光線の(グローバル座標系における)角度を示したプロット602であり、前方左の座席(例えば、図1Aおよび図1Bの観察位置132)において、スクリーンの周囲をトレースすることにより定められた角度を示している。図6(B)は、後方左の座席(例えば、図1Aおよび図1Bの観察位置134)における上記と同様のプロット652を示している。この例の場合、後者(プロット652)が、前者(プロット602)に内包されている。典型的な映画館の座席配置では、しかしながら、後方の座席が、スクリーンの下端に対応する領域の一部を規定している。] 図1A 図1B 図6
[0046] 図7は、任意の21の映画館の座席エリアについてサンプルした、上記の図6(A)および図6(B)と同様な観賞領域を示した極グラフ700である。サンプルしたデータ704は、照明/視野条件が垂直方向に対称となる条件の境界線702内に収まり、同様に垂直方向に対称となっている拡散領域を規定している。拡散を実質的に境界線702で囲まれる領域内に限定し、実質的に全ての観察位置と任意のセーフティマージン(例えば5°)とを含む観賞領域をそこに含ませるように設計するのが、目標である。] 図6 図7
[0047] 以下に記載する分析では、スクリーンが、マイクロ反射構造の集合体を含み、マイクロ反射構造は巨視的に見て同一平面となっており、また傾斜確率密度関数に従った方向においてランダムに配置されていると仮定している。ローカルな座標系は、ここでは、投射光線ベクトルおよび観察光線ベクトルによって規定される。これにより、局所ファセット法線ベクトルを含む局所入射面が規定される(ここでは、所望の表面が、連続マイクロ反射の性質を有している場合でも、例示のため、ファセットモデルを使用する)。偏光は実質的にスクリーンで保存されることから、ファセットで偏向された光は鏡面反射の結果であると仮定するのが合理的である。あるファセットが所望の方向に存在する尤度は、スクリーンの利得に関係している2次元の傾斜確率密度関数によって表わされる。]
[0048] また、局所入射面は、反射に関するフレネル方程式に従うSベクトルおよびPベクトル(または局所固有ベクトル)を規定する。この場合、機能的被膜は、通常、複素屈折率をもつ金属(例えばアルミニウム)であり、したがって、光吸収性がある。「ファセット面積」が照明波長と比べて大きいと仮定する(または、より現実的には、波長の大きさで傾斜がゆっくり変化すると仮定する)と、光は表面で鏡面的に反射され、偏光が保存されるとみなすことができる。このように、事象に関連して偏光消失は実質的に起こらないが、通常、SおよびPに関する固有の複素反射係数により偏光状態(SOP)の変化が生じる。]
[0049] 入射直線偏光光が、SおよびPの射影の両方を含む場合を考える。反射における位相差は、楕円率を導き、反射率の違いは、方向を回転させる傾向がある。直線偏光子ベースの3Dシステムの最悪の場合の方位角(アジマス角)(入射のファセット面に対して±45°の偏光)における、または円偏光子ベースシステムのある方位角における、フレネル反射の偏光コントラスト比に対する寄与は、次のように表わされる。

ここで、

は、それぞれP偏光およびS偏光に関する複素反射係数(共通の位相は無視)であり、Γは、R成分およびP成分間の位相シフトを表わす。 一次では、分母の第1項は反射率の違いによるコントラスト損失を表わし、分母の第2項は位相の遅れによるコントラスト損失を表わしている。]
[0050] (例えば、平面スクリーンの)無限の投影距離(中心に投影装置が配置される)をもち、スクリーン面に観察者を位置させるためには、基本的に、ファセット入射角が45°より小さい必要がある。一般的な映画館の座席エリアの場合には、最悪の条件の観察者に関連付けられた最大のファセット入射角は、35°未満である。]
[0051] 図8は、ファセット入射角の関数としての円偏光(または最悪の条件の方位角での直線偏光)の場合の、フレネル偏光コントラスト比のグラフ800を示している。コントラスト802は、角度が25°未満(ほとんどの観察者が含まれる)で1000:1を超え、35°を超える角度では、270:1を割らない値となる。このように、フレネル寄与は、現在の映画館の環境下では、相対的に小さくなっている。] 図8
[0052] (一次の)相対的な寄与という観点で見れば、反射率の違いのみによるコントラストは、角度35°で24000:1となり、位相の遅れのみに関係するコントラストは273:1となっている。したがって、フレネルに関係するコントラストの損失は、ほぼSとPとの間の位相シフトに起因すると言える。SとPとの位相をより厳密に一致させる方法が存在し、また同時に、(自然酸化物の成長を防ぐ役割も果たす)共形透明誘電体層を金属層の上に追加することにより、全体の反射率を上げることも可能である。これは、いわゆる「保護アルミニウム」鏡面被膜によって実現することができる。米国特許第7110175号広報、発明者Lippey他(参照により本明細書に組み込まれる)では、反射率の違いに対応するためにアルミニウムの層を堆積し、誘電体層を使用してS‐とP‐の反射率を同じにすることが開示されている。しかしながら、Lippeyは、コントラストが、反射率の違いよりも、位相の違いからより大きな影響を受けることを認識していない。偏光解消がSとPの反射率の違いの結果のみによって生じていると仮定しているため、コントラストに関しては、局所入射角を最小にして高い利得を得ることを目的としている。しかしながら、ここに開示されるように、我々は、偏光解消を支配しているのは、多重散乱事象であることを証明した。この点についてLippeyは示唆すらしていない。すなわち、Lippeyは、コントラスト性能に寄与する支配的なメカニズム、またはコントラスト性能を最適にする技術を認識していない。さらに、Lippeyは、第2の目的として、S偏光とP偏光との振幅反射率を一致させることを挙げている。本開示の教示するところによれば、SとPの反射率の振幅を一致させると共に、これら二つの成分間の位相差を最大にすることも可能であり、偏光保存特性について優れた性能を提供可能である。]
[0053] 誘電体の保護膜を金属鏡面層上に堆積して、耐久性を付与し反射率を向上させることが、しばしば行われている。アルミニウムが何にも覆われず剥き出しの場合、簡単に傷がついたり、次第に自然酸化物(Al2O3)の薄い層(70〜90Å)が形成されてしまう。自然酸化物(係数n=1.66)は、時間の経過と共に反射率を下げてしまう傾向がある。光学的厚みがおよそ波長の四分の一であるMgF2(係数n=1.38)の層を、剥き出しのアルミニウム上に堆積させることにより、反射率を数%上げることができる。MgF2は誘電体の保護膜として理想的な選択肢ではあるが、SiO2のような係数が低い他の誘電体を使用しても十分な改善を得ることができる。どちらの場合にしても、一番の制約は、S反射率とP反射率との間の複素位相差を最小にすることである。]
[0054] 本開示においては、効率を向上させることよりも偏光保存をすることがより重要である。上述したように、薄膜で補償してS成分とP成分との間の位相差を小さくすることによって、偏光保存を促進する。任意の厚みおよび係数をもち、性能測定基準が589nmでの偏光コントラスト比となっている(入力偏光は、入射面に対して45°)誘電膜は、(例えば、MgF2層を配置することにより)反射係数を最小とした場合に、最も優れた結果を示す。70Åの厚さの自然酸化物が使用される場合、ファセット入射角35°における偏光コントラスト比は、139:1(剥き出しの状態のアルミニウムのコントラストより低い)となる。波長の0.34倍の厚さをもつMgF2層を追加すると、コントラストは、23,915:1となる。28°でのコントラストは、補償された場合のコントラスト(1,934:1)を下回るが、それでも、コントラストは依然として補償されていない場合(360:1)より大幅に高い値となっている。さらに小さい角度では、コントラストは通常上がり、補償された場合には、補償されない場合の少なくとも3倍以上のコントラストを維持する。]
[0055] 傾けられたファセットは、固有の直線偏光を持つことから、直線偏光ベースのシステムの性能は、方位角に依存する。入力偏光が入射ファセット面に含まれている場合、偏光は反射において保存される。このメカニズムが、コントラストを決定している重要な要素であるとすると、眼鏡を選択することにより全体の性能を最適にできる。例えば、スクリーンのかどは、ファセット入射角が最も大きくなる場所に対応しており、方位角0/90°よりも方位角±45°に近くなる傾向がある。このような場合では、±45°の直線偏光の眼鏡をベースとしてシステムを使用してもよい。コントラストは、実際には、方位角とは無関係なので、円偏光ベースのシステムを使用しても、どの方位角でも反射による偏光変化を抑制することはできない。コントラストが、多重反射によって支配されてしまうような事象では、上記の議論が、同様な設計検討とはならない。]
[0056] [二重反射]スクリーンの構造によっては、1回反射された後の偏光の変化は、クロストークに影響する最も重要な因子でない場合もある。例えば、Wavefront Techinologies社が製造する拡散体のような高指向性の拡散体は、高度に傾斜したリッジをもち、二次反射が生じる傾向がある。交差偏光子顕微鏡の下では、既製のホログラフィック拡散体の多くは、法線方向に照明され検出される場合、再帰反射により直線固有偏光を示す。光の伝達に通常使用される製品を試験のためにアルミニウムで被覆したものを3つ用意し、サンプルとしてテストした結果、全てのサンプルが、実質的に、直交方向よりも一つの面で拡散していた(8°/21°、10°/68°、12°/44°)。被覆したサンプルにより、入射偏光が構造軸に平行な場合はコントラストが、数百:1となるが、サンプルが回転する場合、コントラストは低くなり、方位角45°で数十:1となってしまう。以上の測定は、再帰反射の配置で行われた。]
[0057] 金属フレークスクリーンのような統計的な表面では、二重反射もよく起こる傾向がある。対になっている複数のファセット間の平均自由工程は、実質的に、実際の反射構造の大きさよりも大きい。再帰反射配置とし、交差偏光子顕微鏡下で、スクリーンのサンプルを回転させると、対になっている複数のファセットの輝度が一斉に変化するのが観察できる。これは、対向する伝播方向から生じた偏光変換された光によるものと考えられる。固有の方向に沿って、ファセットの複数の対は高度に消滅する。再帰反射による高度な偏光変換により、ファセットの対は方位角±45°で非常に明るくなる。このファセットの複数の対の実効的な配置は、多くの場合非常に類似しており(ファセットが重なる領域によって決定される)、これも、簡単に識別可能となる要因の一つとなっている。]
[0058] 再帰反射の配置は、輝度の観点で見ると、有益となる可能性がある。すなわち、通常、拡散のピークの方向が入射方向とぶつかる場合に、投影装置からの光は、観客の前方に投射される傾向が強くなる。例えば、ビーズスクリーンは、従来の(猫の目)再帰反射器のように機能するという利点をもつ。また、自己補正する性質があるので、光を最適に分散させる手段として、拡散特性を局所的に制御する必要がほぼなくなる。しかしながら、このような再帰反射は、特定の再帰反射器(例えば、コーナーキューブ)のように偏光を弱めることがない点に注意しなくてはならない。ファセットの対による二重反射の場合、偏光は、実質的に直交状態へと変換される。]
[0059] 以前の映画のスクリーンには、垂直方向と比較した場合に、より水平方向に多く光を分散させるため、レンチキュラー状の周期的構造が使用されていた。垂直方向よりも水平方向により大きな程度で光を分散させるために、構造化された表面を使用する際には、二次反射が起きやすく、この場合には、0/90°偏光ベースの眼鏡を使用するようにしてもよい。しかしながら、二次反射が起こりやすいスクリーン構造は、適切に実装できない場合が多い。]
[0060] [偏光コントラスト比に対する各因子の寄与] 偏光コントラスト比に対する各物理機構の寄与を抽出するのに、測定をおこなってもよい。上記の議論に基づくと、散漫散乱の寄与は、角度空間において白色となり、偏光規定ベクトルとは無関係であると考えられる。これは、背景漏洩(background leakage)因子となる。したがって、ファセット入射角と偏光コントラストとの比の結果は、直線偏光と円偏光の両方で同じとなる。同じにならない場合は、他の物理機構の寄与が非常に大きいと予想される。]
[0061] フレネル寄与は、再帰反射方向(反射が1回のみの場合)ではゼロであるが、ファセット入射角が20°に近づくと顕著となり、角度が大きくなると寄与も大きくなる。フレネル寄与は、明らかに偏光に依存し、入力がファセットの入射面に平行/垂直なときに消失し、±45°で最大となる。円偏光の場合は、偏光コントラスト比に対する寄与は、方位角に対して無関係となる。したがって、大きな入射角において、直線偏光コントラスト比の結果が方位角の強い関数となる場合(または、直線偏光コントラスト比と円偏光コントラスト比との間に明らかな差異がある場合)、フレネル因子が重要となりうる。これは、大きな角度において、多重反射からの寄与が相対的にわずかとなる(または、分離できる)ということを仮定している。]
[0062] 再帰反射方向において、直線規定ベクトルと円規定ベクトルとで、偏光コントラスト比が異なる場合は、二重反射が原因であると考えられる。傾斜確率密度が方位角について均一である統計的表面の場合、二重反射事象の尤度も方位角について均一となる。従って、円偏光の場合、偏光コントラスト比に対する寄与についても方位角について均一になる。しかしながら、直線偏光は方位角依存性があるので、全方位角における平均偏光コントラスト比に対する寄与は、円偏光の場合の半分となる。]
[0063] この寄与を検証する方法として、直線偏光および円偏光両方の場合について、偏光感度を持つ双方向反射分布関数を測定した。ここで、直線偏光はある固有方向(Eigen‐direction)に沿ったものした。]
[0064] 図9は、直線偏光の場合902のコントラストと、円偏光の場合904のコントラストを示したグラフであり、直線偏光では160:1を超えているが、円偏光では110:1にとどまる。この違いが再帰反射方向に沿って観察されることから、円偏光の偏光コントラスト比が本質的に低い場合でない限り、偏光コントラスト比の変化は多重反射に起因すると考えられる。ここで、上記のような結果得るため、532nmのレーザーを1組の直交する直線偏光子と円偏光子に向けて、法線方向に入射した場合のベースライン性能を試験した。測定されたベースライン偏光コントラスト比は、直線偏光の場合888:1、円偏光の場合895:1であった。性能の違いは、実験誤差の範囲内に十分収まり、偏光子によって限定される。したがって、二重反射を除去すれば、本開示による設計表面が、実質的により高い偏光コントラスト比を提供可能であると考えられる。] 図9
[0065] 統計的表面が持つもう一つの好ましくない点として、双方向反射分布関数特性の空間制御に欠けていることが挙げられる。ファセット確率密度関数の空間変化が、見た目の不均一性をもたらす場合がある。このような変化に関係する構造の大きさは、製造工程およびそれぞれの統計的制御要素に大きく依存すると考えられる。フルHD(1024×2048画素)の2k投影装置の平均的なスクリーンにおける画素のサイズが、およそ7mmであるとすると、このサイズ(またはこれより大きいサイズ)を超える反射強度の顕著な変動が、問題になる可能性がある。これを検証するために、サンプルのスクリーンを法線方向から305mmの距離で、振幅が安定した532nmのレーザーで照明した。レーザーおよび検出モジュールを45mmの間を空けて同じレール運搬機(同一面)に搭載し、スクリーン軸に沿って1mmずつ移動させた。検出器の開口は、5mmであり、実質的にスペックルの寄与を取り除くことができる。関連する検出立体角の平均化をおこなうと、プロファイルが平滑化されると考えられる。]
[0066] ある特定の位置における全スキャン範囲は、100mmであり、スクリーンの他の位置における結果についても明確な違いは生じなかった。二つの製造者によるスクリーンのサンプルを試験した。サンプルAとBの場合、反射パワーの標準偏差は、それぞれ6.8%と5.2%であった。最大偏差は、サンプルAで+21%と−16%であり、サンプルBで+11%と−14%であった。]
[0067] 不均一な双方向反射分布関数が原因となる、7mmセグメントのスキャンで収集された平均パワーを比較することにより、知覚される画素の輝度における変化を見積もることができる。サンプルAの場合、平均偏差は4.6%であり、サンプルBの場合、平均偏差は6.7%であった。対応する最大偏差は、それぞれ、8%と7.5%であった。本開示のよる設計表面の利点は、このような固定パターンの変化を、全ての関連するスケールで実質的に取り除くことができるということである。]
[0068] [干渉効果]投影光の空間コヒーレンスが波長の大きさのオーダーであると仮定し、投影装置からスクリーンへと伝播した後を考えると、スクリーンの解像領域と比較して大きい領域に、照明光は、空間コヒーレンスを呈する可能性がある。これは、光が網膜にコヒーレントに重ね合わせられることにより、スクリーンでの見え方が不均一になるという問題を悪化させてしまう。本開示によれば、設計された微細構造は、所望の表面形状特徴(トポグラフィ)に重ね合わせられる空間周波数ノイズ構造をもつことができる。このような構造は、1回反射の条件には影響しないが、目によって収集された光が実質的に位相空間で均一であるように見えるよう、位相をランダムにする。ノイズの振幅が波長の数倍の大きさであり、波長が、光の空間コヒーレンス長と同様である場合は、この位相のランダム化は、実質的にスペックルを減少させるのに十分である。]
[0069] [マットな外観] 目は、およそ1′の大きさを分解できるが、それを下回る大きさで知覚される強度は、関連する領域において生成カーネルが照明方向から観察方向へ光を散乱する確率密度の加重積分であるとみなすことができる。この確率は、局所傾斜確率密度と関連している。積分された確率が空間的に変化するということは、サンプルされた領域がアンサンブル統計に従っていないことを意味しており、スクリーンはきめが粗いテクスチャをもち、好ましくない。これは、構造サイズが大きいこと、および、スクリーン表面の所定の構造の両方が原因となり起こる。また、相対的な強度変動が観察角度にともない増加するが、要求される傾斜面積が存在する確率は、正反射方向と比べると実質的に小さくなっている。]
[0070] 従来の映画のスクリーンが、マットな外観であったのは、構造の大きさが非常に小さかったからであり、それにより多重散乱事象が生じ、角度空間において光を平均化するのに寄与していたからである。本開示では、設計された拡散体を分析し、一回の反射の後により均一な強度分布が形成されるように、拡散体に空間的変更を施している。そして、偏光保存をすると同時に、実質的に外観のきめの粗さを低減している。大抵の場合、これは、本開示による設計された拡散体の形状によって達成可能である。局所的には、各散乱構造が全観賞領域をエルゴード的に満たしている。空間的変動は、主にランダム化とタイリング(タイル張り)の効果に起因するものである。このような効果を受ける面積の割合は、影響を受けない領域に比べて小さい、すなわち、設計された生成カーネルが重なり合う領域に限定することができる。境界において傾斜ゼロおよび高さゼロである生成カーネルを使用することにより、この効果を、実質的に利得プロファイルの鏡面反射領域に限定することができ、その方がより好ましい。]
[0071] [スクリーン設計の例示] スクリーンが、生成カーネルの統計的に均質な分布を含む場合、このカーネルが実質的に極端な場合の照明条件及び観察条件を満足する必要がある。スクリーン上の全ての点のそれぞれが、一つまたは複数の個別の角度からの照明を受ける。アンサンブル統計に関係する領域上で、この照明は通常コリメートされているとみなせる。このような各照明領域では、利得の必要条件に応じた拡散領域に関連する角度範囲内に光が散乱される。このような各位置では、正反射方向と観察方向との間で形成される極限角が重要な量となる。スクリーンの各点に対する散乱条件が重なっている場合、本明細書で「拡散領域」と呼んでいる、境界線部分は、スクリーンの微細構造の拡散条件を規定している。拡散領域は、スクリーンの微細構造の傾斜確率密度と関連している。]
[0072] 微細構造拡散体について説明するには、微細構造を形成し、繰り返し使用される最小の基本構造単位(または単位群)を考えるのが便利である。本明細書では、この基本構造を生成カーネルと称し、表面拡散体として、そこで反射される光の拡散プロファイルを決定する局所的形状をもつ。理想的な条件下では、この生成カーネルは、必要とされる拡散体の全アンサンブル統計をもっているので、拡散の2地点間における変化を、限界とされる最小のスケールにおいて、最小限にする。より一般的な条件では、生成カーネルはこれらの統計を完全に満足しないかもしれないが、これら構造のアンサンブルは満足すると予想される。]
[0073] 本開示の一側面によれば、生成カーネル(または複数の生成カーネルを含む微細構造)のプロファイルを設計することにより、照明角度/観察角度の全範囲に関係するファセット入射角度内で生じる二次反射を取り除く。ある実施形態では、これは、(先に述べたような館内配置の考察結果に基づいて)映画館内の必要とされる全ての座席に光が供給されるように、照明/観察の拡散領域を決定する、および、以下に述べる条件の少なくとも一つを達成するように生成カーネル(または複数の生成カーネルを含む微細構造)を設計することにより、達成される。条件とは、(1)正反射方向において、「スパイク」がほとんど存在しない、または全く存在しない散乱領域(実質的にランバート散乱)全体において同一となる傾斜の確率密度関数、(2)空間的に均一(例えば、±1%)な傾斜確率密度関数、したがって、知覚される輝度の変調がほとんどない、または全くない、(3)拡散領域の境界線において角度空間の鋭いカットオフがある傾斜確率密度関数、(4)滑らかな表面にすることで、偏光度が保存されるように、数ミクロンより小さい構造が存在しない生成カーネルの配置、(5)数百ミクロンよりも小さい生成カーネルの構造の大きさ(この大きさを超えると、例えば、「きめが粗い」または「スパークル」が存在する外観となる)、および(6)拡散領域周辺内に入射する光線が、拡散領域に入る前に、実質的に二次反射を受けないこと、を含む。]
[0074] 傾斜確率密度に鋭いカットオフを設けることにより、入射光(前方散乱)の方向、または隣接する構造の方向に散乱する傾向のある光を除くことができる。このような光は、二回またはそれ以上の回数、反射されて、通常、偏光に大きな変化が生じる。加えて、拡散領域に入らない光は、画像の輝度を上げ、観客席の表面で散乱された迷光による彩度およびコントラストの損失を取り除くのに利用できる。]
[0075] 図10は、80°で強いカットオフをもつ均一な確率密度関数を持つ凹状構造1002の一次元例のグラフ1000である。このような構造の数学的な条件は、以下のとおりである。第1に、θの変化率は、所望の散乱確率の逆数に比例する。すなわち、D(θ):∂θ/∂x=c1/D(θ)(ここでcは、距離の逆数の単位であり、生成カーネルに対する尺度を設定している)。第2に、確率分布の強いカットオフは、θの積分の限界を設定することにより決定される。第3に、表面上の任意の点における傾斜は、散乱角度の半分のタンジェントに等しい、すなわち、∂z/∂x=Tan(θ/2)。] 図10
[0076] 図11は、周期的であり、同じ条件を満足する1Dの構造1100を描いた図である。構造における複数の凸要素1102は、凹要素を180°回転させることにより得られる。この構造における隣接するセルは、アスペクト比が保存される任意のサイズをもち、目では分解できないくらい小さいサイズであって、かつ散漫散乱を防ぐのに十分な大きさをもち(例えば、数百ミクロンより小さく、数ミクロンより大きいサイズ)、拡散領域内において多重反射が起きないようになっている。10°までの角度で入射する光は、反射光線1104で示されるように、多重反射が起きず、隣接ピークもない。ランダム化された表面を、1106で示されるように、異なる幅を持つ複数の単位セルで埋め尽くすことによって生成してもよい。] 図11
[0077] より一般的に述べると、統計的表面は、微分方程式∂θ/∂x=c1/D(θ)を削除し、傾斜確率密度D(θ)を残すことにより、生成可能である。傾斜θをもつ表面の密度がD(θ)と等しい限り、反射構造は様々な形を有してもよい。特に、スクリーンの様々な領域において、異なる散乱要求がある場合には、それを満たすように設計することが可能である。]
[0078] 図12(A)から12(D)は、投影装置、スクリーンおよび座席エリアを含むある映画館の側面図を概略的に示した図である。]
[0079] 図12(A)では、動作の際、光線1204が、投射装置1202からスクリーン1206の下の部分に向かって伝播する。座席エリア1208を照明するためには、光線が拡散領域1210に向かって散乱されなくてはならない。拡散領域は、照明および検出/観察における角度の極値に従って規定される。拡散領域内では、反射はスクリーンから拡散領域の間で実質的に1回のみ起こり、拡散領域の外側では多重反射が起こってもよい。]
[0080] 図12(B)は、図12(A)に示したスクリーン表面における微細構造1222の例を概略的に描いた図である。光線1224、1226および1232は、全て光線1204に対してほぼ平行であるが、それぞれ異なる微細構造部分を照明している。光線1224および1226は、拡散領域1210に入る前に、1回の鏡面反射1230および1228を受ける。光線1232は、2回の鏡面反射を受けるが、射出光線1234は拡散領域1210に入らないので、偏光コントラスト比を減少させることはない。]
[0081] 反対に、図12(C)は、投射装置からスクリーン1206の上端の部分に上向きに伝播し、拡散領域内の実質的に異なる観賞場所を照明する光線を示している。図12(D)では、スクリーン1206の上端部分に位置する微細構造1262からの反射1268を描いており、スクリーンの上端部に入射する光線は、多重反射されないが、一部の反射光線1270は拡散領域1240に入らない様子を示している。]
[0082] 従って、投影装置1202からスクリーン1206の上端部に伝播する光線と比較して、投影装置から下向きに伝播しスクリーン1206の下端部に衝突するは、拡散領域の実質的に異なる部分に好適に散乱して、座席領域を照明する。すなわち、傾斜確率密度は、入射角度の関数としても表わすことができる。さらに、異なる入射角により異なる観賞場所を照明できることから、拡散領域に入らない限りにおいて二重反射も許容できるといえる。この効果は、投影装置の投影距離が小さくなるに従って大きくなる。一つの微細構造1222および1262が図示されているが、一つの微細構造は、一つまたは複数の生成カーネルを含んでもよく、これは本開示内容と矛盾しない。]
[0083] 図13(A)および図13(B)は、図7に示した拡散領域にのみ光が散乱されるように設計されたスクリーンについていくつか考えられ得る「利得」曲線のグラフ1300、1350を示した図である。ここで、利得は拡散領域内で計算されており、また垂直軸に対して対象であるが、図7に示すような鋭いカットオフを持っていると仮定している。グラフ1300は、拡散領域内の均一な(ランバート散乱のような)プロファイル1310によれば、典型的な白色のマットスクリーンプロファイル1320と比べて、効率がおよそ30%上がることを示している。グラフ1350は、利得プロファイルが、現存する利得シルバースクリーンと同じ機能的形状をもっているとすると、効率1360の増加がほぼ100%になることを示している。また、線1340で示すように、全体としての均一性が線1330で示される従来のシルバースクリーンを上回るように利得曲線を平らにすることもでき、すなわち、同じ最大輝度をもちつつ現在のシルバースクリーンの利得プロファイルを広げることができる。] 図13 図7
[0084] 図14は、スクリーン表面の法線に対する、ファセット法線領域の極プロット1400を示しており、投影装置からの光が実質的に全観賞領域を照明している。スクリーンの各点において、投影装置からの光を各座席それぞれに向けるファセット法線1410の集合が存在する。このようなファセット法線の集合が複数、スクリーン表面全体に渡って存在することにより、ファセット法線領域1420を構成しており、観察者がそれぞれ実質的にスクリーンの全ての部分から光を受けることができるようになっている。この領域の外に位置するファセット法線は、無駄な光となる。グラフの黒い点1410は、任意に選んだ映画館の左側に位置する極限の観賞場所の席から計算された結果である。領域、すなわち曲線1420は、最も右側の座席の観賞角度を含むように延長される。] 図14
[0085] 偏光保存投影スクリーンについての所望の配置特性は、次のように特定される。(1)拡散領域を均一な光強度で満たす。(2)(a)反射された光がスクリーンに2回ぶつかることがないよう光の分布にカットオフ角度を導入する、および(b)急峻な傾斜をもつ構造を良好に分離した状態に保つことにより大きい角度で散乱された光が2回表面にぶつかることがないようにする、ことにより光の多重反射を防ぐ。(3)一つの画素よりも小さい領域内においてエルゴード性を達成する。すなわち、一つの画素よりも小さい面積のスクリーンによって全拡散領域を均一にサンプルするので、スクリーン輝度が空間的に均一となる。(4)散乱を防ぐために、全ての構造を光学的波長よりも十分大きくする。(5)モアレ縞または、小さなパターングリッドの集合間での干渉を生じるような、投影装置のピクシレーションと組み合わされる周期的構造を避ける。1D散乱についてこれらの条件を満たす曲線が見つかっている。]
[0086] ここで使用されている「エルゴード性」とは、有限の領域におけるあるパラメーターの平均値が全領域のアンサンブル平均に収束される条件を指す。ある大きさをもつ領域がエルゴード的であると言うとき、この領域と、アンサンブルにおける同等の大きさもつ領域またはそれより大きい領域との間に、統計学的に違いはない。]
[0087] 2Dの拡散表面を実現するには、一般的に、二つの方法がある。一つ目の方法は、上記の条件を平均的に満たすランダム(確率論的な)プロセスに使用可能な一連のルールを決めることである。通常、設計要求を全て満たすようにランダムプロセスの全てを特定するのは、非常に複雑であるが、これらの表面を製造するのは一般的にそれより容易である。もう一つの方法は、上記の全ての条件を明白に満たすように特別に構造を設計することである。これにより、最善の性能を保証できるが、この設計をスクリーン表面に非常に忠実に転写する製造技術が必要となる。]
[0088] [確率論的設計]ランダムな構造から表面の拡散体を形成する方法が数多く存在する。例えば、レーザースペックルのホログラフィック記録、化学エッチング、機械的エッチング(例えば、ビーズブラスト)、ポリマー結合剤に封入された金属フレークを塗布する等の方法がある。これらの拡散体における個々の散乱構造の局所的配置は、拡散体を形成するプロセスによって決まる。例えば、ホログラフィック拡散体は、2Dのガウス分布のピークによって構成される一方、金属フレークの塗料は、鋭いかどをもつ平面的なファセットの集合体により構成される。鋭いかどを全て無視すれば、このような多数の構造の限界値は、ガウス統計に一致すると期待できる。したがって、確率論的拡散体は、固有の高さdおよび幅σをもつガウス散乱構造のランダムに配置された集合として近似できるといえる。]
[0089] 原理的には、dおよびσの平均値は、多くの場合、独立して制御可能である。例えば、レーザースパークルパターンの場合、σは、特徴的なスペックルの大きさであり、開口部までの距離または開口部の大きさを変更することにより調整可能である。スペックルパターンがフォトレジストに記録される場合は、露光時間および/または現像条件を変更することにより、dを制御することが可能である。同様に、ビーズブラストプロセスの場合には、σが溶射される粒子の大きさに関連し、dは入射速度(一次の)に比例する。したがって、確率論的拡散体を生成する設計ルールの構築は、dとσとの間の関係および偏光保存、すなわち二重反射の理解に依存する。]
[0090] 図15は、ガウス表面の例を上から見下ろした様子を概略的に描いた図1500であり、物理サンプルで実験した結果にと計算したモデルとを比較検証するために、ガウス統計をシミュレーションした側面図1502および1504も示されている。ランダムに位置したガウス分布をもつ平面を投入して、ガウス分布(例えば、ガウス分布1506および1508)をもつ2Dの拡散体のシミュレーションをおこなった。一次の次元では、同じガウス分布を使用してもよい(σとdが定数である)。六角形の格子状にピークを配置し、それらの配置をガウス的に重み付けされた距離でランダムに変換することにより、相対的に均一な反範囲が提供される。変換の標準偏差が十分に大きい場合、内在する六角形格子の次元は削除され、ペアとペアの間の相関がガウス分布になる。これは、図15に示すように、ガウスノイズ分布となる。この例示したシミュレーションでは、σ=30μm、d=16μmであり、内在する格子定数は60μm、そして構造の全幅は2mmである。] 図15
[0091] 構造1500の散乱分布および利得を、不連続光線追跡(ASAP)ソフトウェアを用いてシミュレーションした。法線方向入射で表面を完全に標本抽出する均一でコリメートされた光源を照明光とした。計算を早くし分析を簡単にするために、個々の光線の偏光は無視し、また、配置に関係のない効果(例えば、フレネル反射、およびサブ波長構造からの散乱)も無視した。利得を計算する際には、表面によって1回のみ反射された光線の全てを収集した。]
[0092] 図16は、図15に例示したガウス表面によって反射された光線の密度を角度の関数としてプロットしたグラフ1600を示している。グラフ1600は、ガウスノイズ表面としての2D光線の軌跡を描いており、グラフ1602はおよびグラフ1604は、それぞれ水平側面および垂直側面からのプロファイルを示している。グラフ1600では、シミュレーションされた光線は、表面において1回のみ反射しており、利得を示すため光線の強度はcos(θ)で表わされている。表面で2回反射された全ての光線の利得プロットは、多重反射の偏光解消効果を計算するのに使用することができる。] 図15 図16
[0093] 図17は、図15で例示したガウス表面から二重反射を受けた光線の強度をプロットしたグラフ1700である。グラフ1700およびその側面図1702と1704から、ガウス表面が完全にエルゴード的ではないことが明らかである、すなわち、散乱分布が半径方向に均一でないことから、この表面は、統計的に滑らかでない。この結果は、3mm×3mmの隣接するパッチ間で顕著な強度のばらつきが見られる同様な構造サイズを持ったホログラフィック拡散体で行った実験結果と一致する。しかしながら、この分布の半径方向の平均は、全分布を良好に近似している。多重反射による偏光コントラスト比は、図16に示すような1回の反射による強度の、図17に示すような二重反射による強度に対する比である。] 図15 図16 図17
[0094] 図18は、ガウス拡散体表面の様々な振幅の一連のシミュレーションによる利得に対するコントラストを描いたグラフ1800を示している。ノイズ分布の振幅を大きくすると、構造の利得を減少させることになる。その結果、多重反射と似た状況となり、コントラストが低下する。この傾向は、一連のホログラフィック拡散体で測定された傾向と同質である。線1802で示されるシミュレーションの結果は、点散乱、フレネル効果および測定系の有限偏光感度がないとした線1804で示される実験による結果よりも、常に高いコントラストとなっている。この一連の実験は、映画スクリーン用の拡散体としての統計的表面の制約のいくつかを明らかにしている。このような構造には、本質的に、利得(したがって、照明の均一性)とコントラストの間にトレードオフが存在する。高い利得が許容される範囲において、高いコントラストを得ることができる。しかしながら、高いコントラストと低い利得を同時に達成するには、表面を注意深く設計することが必要となる。] 図18
[0095] これらの結果を診断するために、ランダムな表面の散乱特性を計算してもよい。まず、高さd、幅σのガウスピークを考える。




この構造で最大の傾斜は、

で起こり、反射角θが次の値に上昇する。




したがって、ある構造高さに対して、分離された散乱構造がカットオフ角θcとなるように最小の構造幅σmを設定することができる。]
[0096] 図19(A)〜図19(D)は、ガウスピーク間の異なる間隔を生成する反射条件のプロットを概略的に示した図である。図19(A)は、一つの散乱構造1902を外れた光線1904の反射の様子を概略的に示している。一つの散乱構造の場合、θcが90°より小さい限り、反射光線1906は表面から逸れ、二次反射は起こらない。図19(B)は、互いに隣接する構造1922及び構造1924が近づいた場合の反射特性を概略的に示している。隣接する構造1922及び構造1924が近づくと、大きな反射角で二次反射が起こる領域が出てくる。図19(C)は、ピーク1932及びピーク1934がより近づいた場合を概略的に示している。ここでは、二つのピークが重なることによってピークの間の領域における最大傾斜が減少するので、二重反射が消えている。図19(D)は、二つのピーク1942およびピーク1944が重なり、最大傾斜が増加した場合を概略的に示しており、このようなケースでは、多くの場合、多重反射が起こる。したがって、隣接するガウスピークには、多重反射が起こった領域の軌跡が存在する。]
[0097] 図20は、等しい高さおよびカットオフ角θcをもつ二つのガウスピークを描いたグラフ2000であり、多重反射が全く起こらないピーク間距離を計算した軌跡が示されている。二つのピークで規定される表面で二重反射が起こる確率を0にする(または、0に近づける)には、ガウス分布のθcを好ましくは52°より小さい値に設定する。θcが80°より小さい場合、ピーク間で多重反射は起こらないが、ピークが重なり始めると起こる可能性がある。三つのピークが重なる確率を考えた場合、θcは依然として小さい値である。しかしながら、θcは、典型的な映画館における望ましい拡散領域よりも、非常に小さい。したがって、ピークが互いに近づくにつれ、光は大きな角度に散乱されるので、この光を拡散領域を満たすようにするには、高密度の散乱構造が必要となる。この場合、三つ以上の構造が互いに重なる確率が劇的に増加する。つまり、二重反射を取り除こうとθcを52°より小さくすると、拡散領域全体に光があたらなくなる。] 図20
[0098] このような問題を解決する一つの方法として、異なる高さおよび幅のガウスピークを使用することが挙げられる。図21(A)〜図21(C)は、それぞれd1=1、σ1=1、d2=1/5、σ2=1/5をもつ二つのガウスピークを重ね合わせた場合を概略的に示している。位置の関数として表わされた反射角を、ピークとピーク間の離間距離について計算している。ピークが十分に離れている場合(例えば、図21(A)を参照)、表面の反射角は、局所的には、個々のガウス分布の反射角となる(θc=50°)。しかしながら、ピーク同士が近づくと、そのピーク間の最大傾斜が大きくなる。図21(B)は、小さなピークが、大きなピークのおおよその肩部に位置している場合を示している。ピークが正確に重なり合う状態に近づくほど、最大傾斜は減少する(例えば、図21(C)を参照)。一つの重要な相違点を除いて、それ以外の全ての効果は、同じ大きさの構造を重ね合わせる場合と同様である。相違点とは、同じ最大傾斜条件が得られるが、表面の平均深さが大きく増加しなかったという点である。その結果、大きい角度での散乱であっても相対的に良好に分離されており、二次反射の尤度が小さくなっている。] 図21
[0099] 図22は、シミュレーションしたノイズパターン2200のグラフであり、異なる高さ及び幅をもつがカットオフ角が同じである構造からなる二つのパターンが描かれている。] 図22
[0100] 図23(A)〜図23(D)は、二つのパターンおよび異なる固有サイズで構成される拡散体と、一つのパターンで構成され異なる固有サイズを持たない拡散体との、利得及びコントラストを比較したグラフを示している。異なる固有サイズをもつ拡散体から計算された利得を表わした曲線2302(図23(A)参照)は、一つの周期的構造のみから計算された利得を表わす曲線2352(図23(C)参照)よりも、滑らかな曲線となっている。これは、第1の構造の固有サイズが小さいために、小さいエリアにおいては、曲線2302がエルゴードに近くなる一方、二つの構造による利得は、ほぼ同じとなっているからである。そして、より注目すべきは、二つのパターンによる拡散体(図23(A)の部分拡大図である図23(B)を参照)のピークコントラストが、一つのパターンによる拡散体(図23(B)の部分拡大図である図23(D)を参照)のピークコントラストのおよそ5倍大きいという点である。平均コントラストは、2倍以上大きくなっている。]
[0101] 結論として、純粋に統計的な構造において最大コントラストを増加させる実用的な方法は、異なる周期性をもつ二つのパターンを重ね合わせることであることが分かった。この方法には、小さい構造のサイズは、好ましくは、光の波長に比べて大きく(例えば、十数μmの範囲)なければならず、また大きい構造のサイズは、一つの画素の大きさに比べて小さく(例えば、百数十μmの範囲)なければならないという実用上の制約がある。ホログラフィック拡散体の場合、2回の露光を行い、1回目と比較して高さがおよそ5分の1、および周波数が5倍となるように2回目の露光を調整することにより実現できる。上記制約を達成する他の方法としては、凹凸が設けられた基板を、高利得のメタルフレークで吹き付け塗装する方法がある。]
[0102] [カスタム設計] 表面上のある地点ごとに高さを調整することができる精密工学能力があると仮定して、表面設計をおこなう方法を以下に開示する。原理的には、拡散表面は、複数の多角形を蜘蛛の巣状(web)に接続したものにより表現することができる。このように表現された拡散表面についてモンテカルロシミュレーションを行い、拡散特性が最適となるような多角形の方向および高さを見つける。しかしながら、小さい領域でエルゴード性が求められることから、最小構造サイズの制約および多重反射の制約があり、これらの制約により計算コストが非常に高くなってしまう。替わりに、特定の生成関数を使用し、それを拡散表面上で複製する方がより現実的である。この関数は、ガウス分布のような一般的な関数を用いることができるが、その場合、上記の設計制約を満足するために、統計は基本的に非ガウス的な方法に限定される。別の方法として、関数は、エルゴード性の所望の特性を局所的に満足する生成カーネルとしてもよい。]
[0103] 生成関数を特定した後、表面を満たすように関数を二次元で複製する。どのような2D曲面も、表面の高さで表わされる値の2Dアレイで表現することが可能である。例えば、図22に示される画素の値は、各点における表面の高さを表わしている。アレイ全体を満たすには、多数の生成関数のコピーを敷き詰める必要がある。このようにアレイを生成関数のコピーで満たすための直接的で費用のかからない二つの計算方法は、置換と加算である。置換は、最終アレイの区域内の画素値を、生成関数の画素値で置き換える。二つの生成関数が重なる領域では、二つのうち一つを切り捨ててもよい。図24(A)は、重ね合わされた関数2410および関数2420の切捨てを行った様子を描いたグラフ2400である。重ねあわされた関数は、垂直になったファセット2430をもつので、多重散乱の発生源となるのを防ぐように修正する必要がある。修正は、この垂直ファセットを、光を拡散領域の外に向ける傾斜ファセット2440、すなわち傾斜がθcより大きく且つ二次反射がおきない程度に十分小さい傾斜ファセットで置き換えることにより行うことができる。加算は、生成関数の画素値を、全アレイの画素値に加算する。図24(B)は、生成関数2460および生成関数2470の画素値を、全アレイの画素値に加算した様子を示したグラフ2450である。ここで、生成関数の高さは、マイナスになっており、高さ=0は線2490で示されている。滑らかに連続した遷移とするため、生成関数の高さおよび傾斜は、境界2480でゼロに近づくように設定されるべきである。この方法の利点は、境界線上にファセットが存在しないので、原則的に光を有効に利用可能であることである。しかしながら、平均的には、加算を行うと、平均アスペクト比が減少し、拡散利得が上昇するため、以下に述べるような修正をおこなう必要がある。] 図22
[0104] ランダムな拡散体について調査した結果、生成散乱構造が表面における二次反射を防ぐカットオフ角をもっていたとしても、二つのピークが予見可能な形で相互作用するときに(すなわち、二つのピークがぴったりと重なる、または近接し過ぎるとき)、多重反射が起きる。ガウス統計で考えると、このような状況は、有限の割合の表面構造に生じると考えられる。したがって、コントラストを上げる直接的な方法は、望ましくない事象を防ぐように基本的に非ガウス的な方法でピーク位置の統計を修正することになる。これをおこなう最も簡単な方法は、ピークが重ならないように、ピークのランダムな変換に制限を加えることである。この変換は、内在する六角形の格子の性質を統計的に隠すような十分な大きさをもつ必要がある。]
[0105] 2Dの拡散レンズの微分は、1D曲線を考えるよりも、少し複雑になる。軸対称な分布を仮定して、θをrの関数として表わす微分方程式は以下のようになる。




ここで、D(θ)は、所望の分布関数であり、Ioは単位面積あたりの入射光束、そして、αは比例定数である。αを計算するためには、生成カーネルに入射する全光束が、全立体角の分布関数の積分値に等しいとする。




ここでrmは生成カーネルの内半径(0となる場合もある)、rMは生成カーネルの外半径、そしてθcは、分布関数のカットオフ角である。θがrの関数として既知となった後、次のステップとして、表面の高さを知るために表面の傾斜の積分を行う。]
[0106] 通常、この積分を分析的に行うことは難しいが、数値的に行うことは比較的簡単である。図25(A)〜図25(C)は、D(θ)=cos(θ)とした場合、すなわち、生成カーネルまたはランバート散乱体である場合、上記の数式3〜5に示した方程式の解のいくつかの例を示したものである。図25(A)は、最大半径rM=1で、最大傾斜が外側の境界線にある円形領域で生成された解のグラフ2500を示している。図25(B)は、内半径がrm=1及び外半径rM=1.5の環状領域で生成された解のグラフ2510を示している。領域2510の最大傾斜は、内側の面で生じているので、解2550を形成するように、これら二つの解を継ぎ目なく接合することができる。図25(C)は、解2500と解2510とを組み合わせて生成カーネルの解を形成した例を示すグラフ2550である。このようなプロセスに従えば、上記のカットオフ角の制約を条件とする、任意の拡散プロファイルが可能となる。]
[0107] 図26は、2Dランバート生成カーネルの不連続な光線追跡を用いて、シミュレーションした利得を描いたグラフである。] 図26
[0108] 図27は、図26の生成カーネルの半径方向に平均化した利得を示したグラフ2700である。解2550(図25(C)で示したように)でスクリーンを完全に満たすと、何もない空間も実質的に取り除かれてしまうという問題を呈するが、生成カーネルに対する歪みは最小限におさえることができる。] 図26 図27
[0109] [生成カーネルのタイリング] 設計された生成カーネルでスクリーンを埋める一つの方法として、例えば、四角形、六角形またはその他の規則正しい形の格子による格子状配置で生成カーネルをタイリング(タイル張り)する方法がある。]
[0110] 図28は、六角形の格子2800配置の例を概略的に示している。上述したように、可能な限り光を最適に利用し、鏡面反射率の増加(反射率の「スパイク」)を防ぐ観点から、何もない空間が存在することは望ましくない。実質的に何もない空間を取り除くには、六角形の格子2800において生成カーネル2802を部分的に重ね合わせてもよい。例えば、単位セル半径が2/√3である生成カーネルの六角形の格子2800を使用したスクリーンにおいて、何もない空間を取り除くには、およそ20.9%の単位セルエリアを重ね合わせる。] 図28
[0111] 図29は、生成カーネル六角形格子2900のセルの重なり2910を概略的に示した図である。] 図29
[0112] 図30は、四角形の格子3000の単位セルの重なり3010を描いた図である。四角形の格子3000の場合、空間を埋めるために、付加的に、より小さな単位セル3020を必要とすることが考えられ、小さい単位セルの半径は、大きいセル3030の半径の関数である。図30に示す四角形格子3000の配置の場合、重なりが17.9%のとき最適の状態となる。以下に述べるように、生成カーネルの重なり部分をつくると、組み合わせた構造の利得を変更することになる。利得の変化は、最も近くに隣接する生成カーネルの中心から中心までの距離の関数で表され、生成カーネルは、格子内の方位角の関数で表される。したがって、完全な格子は、生成カーネルの局所的配置を反映した散乱分布の偏差をもつ。例えば、六角形の格子では、所定の点に最も近接するカーネルは、所定の点を中心に60°ずつの方向に分配されて、6倍の対称性をもつ。その結果、散乱分布は、60°の周期性および生成カーネルの重なり量に比例する振幅をもつ方位角方向の変調を有する。規則正しい生成カーネルの格子は、モアレ縞、回折などの望ましくない効果を生じることがある。規則正しい格子をよりランダムなるよう緩和するには、例えば、ランダム化された格子点をもつ六角形格子を使用することで、これらの望ましくない効果を低減させることができる。規則正しい格子をランダム化することにより、さらなる重なり部分が生じてもよい。格子の位置に加えて、単位セルのサイズをランダム化してもよい。しかし、この場合には、構造の重なりを事前に補正することが不可能となる。] 図30
[0113] 図31は、中心を0.1lランダム化した六角形格子3100の概略図である。この配置では、60%の重なり領域3110となる。] 図31
[0114] 図32は、大きいセル3230の間に分散された小さいセル3220をもつ六角形格子を描いた略図3200であり、この場合、9.4%の重なり領域3210となり、非常に小さくなる。図32のセル配置は、よりランダムな配置となっている。] 図32
[0115] 格子によって生じる効果を低減するのに、他の方法を用いてもよい。例えば、大きな単位セルは、最初のタイリングに使われる多数の生成カーネルによって構成されていてもよく、この場合、散乱プロファイルにおける格子構造を隠すのに必要なランダム化量が少なくなると考えられる。六角形格子は、6倍の回転対称性をもつが、独立した二つの六角形格子の要素をそれらの間で30°回転させて組み合わせたとすると、対称性は12倍に増加する。これは半規則的および部分的に規則的なモザイクの無限集合を多数用意することにより達成できる。半規則的および部分的に規則的なモザイクは、典型的には、多数の多角形(例えば、三角形や四角形)、および格子を満たす構造サイズを含むので、散乱構造の高さおよび方向にさらなる変化を加え、干渉を低減することができる。図33(A)は、半規則的モザイクパターンの概略図3300である。図33(B)は、このタイリングの単位セルを描いた概略図3350であり、単位セルは、二つの六角形格子要素3360および3370と、三つの四角格子3380とを含む。多角形の頂点は、生成関数の中心点を示している。規則的な六角形格子における最も隣接している方向の角度方向は、0、60、120、…300であるのに対し、図33(B)に示す場合は、0、30、60、90、120、…330となっている。さらに、四角形の要素を導入することにより、15、45、75、…345という角度の集合を追加することができる。図33(C)および図33(D)は、多角形3390および3396(および生成関数の中心)を概略的に描いた図である。構造の反復距離は、依然として、一つの画素よりも小さい。]
[0116] 任意の大きさでの擬似ランダムのタイリングは、結晶溶解の2Dモンテカルロシミュレーションを行うことにより、生成することができる。このような方法は、ハードディスクの相互作用や、任意の引力/斥力相互作用ポテンシャルをもつ粒子の研究分野でよく知られている。このシミュレーションの開始点として、まず、規則的なグリッドに2Dの粒子の格子を生成する。そして、ランダムな粒子を、アンサンブルから選択し、小さな定量で変換する。変換の結果が、ディスクで覆われていない領域となった場合には、その動きは拒否される。変換の結果が、粒子の全重なり量が減少した場合には、承認される。全重なり量が増加する場合には、増加量に反比例する確率と共に承認される。このプロセスは、系が平衡状態に達するまで繰り返される。通常、このようなシミュレーションにおいて、充填の制約が強調される場合には、六角形格子に収束する。したがって、粒子の重なりを最小限にしつつ結晶化度を抑制するためには、モンテカルロステップ(同様の制約を条件とする)に、粒子のサイズのランダム的な変化を加えるのが有用である。]
[0117] 図34は、水平変位を用いたランダム化を概略的に示した図3400を示している。変位を均一に生成することにより、図3400に示されるように表面が完全に覆われるようにできると考えられる。] 図34
[0118] 図35は、図34に示したランダム化された水平方向変位をもつ表面の場合の、セル中心からセル中心への変位の確率分布のグラフ3500である。グラフ3500に示されるように、隣接構造の最大変位は、2.0であり、平均変位は、0.905である。] 図34 図35
[0119] 一般的な構造、例えば、ガウスピークは、必ずしも理想的な散乱分布を生成しない。かわりに、分布が相対的に多数の構造によって実現されるように、構造のサイズおよび位置の統計を制御してもよい。拡散体の単位セルを特異的に設計するのが難しい場合には、例えば、ホログラフィーやエッチングによる拡散体、またはガウスピークのような一般的な構造が、設計パラメーターを決定するのに有用である。一つのセル、生成カーネル、または複数の生成カーネルを含む微細構造は、理想的には、あるカットオフ半径において傾斜がゼロに近づく点をもち、複数のセルを継ぎ目なしに互いに閉じ合わせることができるのが望ましい。また、理想的な生成カーネル、設計された生成カーネル、または複数の生成カーネルを含む微細構造は、生成カーネルがそれぞれ所望の分布関数を全て生成できるように、エルゴード的であることが望ましい。ランバート分布を生じさせている生成カーネルは、局所的にはエルゴード的になっている。エルゴード的な生成関数は、拡散表面上の強度変化が最小になるのを助ける。]
[0120] 分離されているガウスピークの拡散構造は、次の方程式でモデル化できる。

分離されたガウスピークの最大傾斜は、r=1/2で生じる。最大反射角度は、

となり、θcのカットオフ傾斜を導くには、Z0を選択して、

となる。]
[0121] θcによっては、およびその近傍において、隣接するピークが二重反射を起こす可能性がある。しかし、θcが80°より小さければ、図20に示したように、多重反射は起こらない(重なっているピークの場合を除いて)。] 図20
[0122] 図36は、ガウスピークの離間距離の関数としての、拡散角度のグラフ3600である。] 図36
[0123] 図37は、重なっているガウス分布を持つ構造のカットオフ角を描いたグラフ3700である。] 図37
[0124] 設計された生成カーネルの場合、重なった単位セルおよびランダム化された単位セルの位置は、例えば、二重反射や利得プロファイルの変化など上述と同様な問題を引き起こすことが予想される。アレイ内に、単位セルを配置する付加的な方法を選択することにより、利得プロファイルの変化を修正するために残し、二重反射が起こる確率を実質的に排除することができる。]
[0125] 図38(A)および図38(B)は、二つのサンプル配置における、設計されたランバート拡散体が重なっている様子を描いたグラフ3800およびグラフ3850を示している。線3810、線3811および線3812は、ランバート表面を表している。線3820は、線3811および線3812を足し合わせたものを表しており、足し合わせた表面の利得が、配置3800では高すぎることを示唆している。配置3850において、生成カーネルがより互いに近づく方向に移動すると、線3820が下側にさらに押し下げられて、利得がさらに高くなる。] 図38
[0126] この問題に対応する一つの方法として、重なりについて、生成カーネルを事前に補正する方法がある。図39(A)および図39(B)は、重なりに対処するために、生成カーネルを事前補正する方法の一つを示した図である。回転線aによって生成された生成カーネルAはエルゴード的であり、回転線bによって生成された生成カーネルBもエルゴード的であり、回転線cによって生成された生成カーネルCは、制約があるが可能な限りエルゴードに近くなっている。]
[0127] 図40は、ランバート拡散の重なりで、事前補正されたセルのグラフ4000を示した図である。線4010および線4020は、目標とする拡散体の形を表している。線4030は、線4010からの偏差が最小とすると同時に線4020を生成するような解を表している。計算では、重なりに対する任意の利得プロファイルを完全に修正するには至らなかったが、結果は十分満足できるものである。図に示されたケースでは、生成カーネルの端で、傾斜がゼロとなっている。利得プロファイルは、80°で鋭いカットオフをもち、80°を超える角度では、実質的に拡散がおこらないようになっている。] 図40
[0128] 生成カーネルプロファイルの重なりに関する事前補正が十分でない場合、所望の拡散プロファイルを得るために更なる措置を講じてもよい。図41(A)は、構造がランダム化された後に、重なっている領域4120および重なっていない領域4130からの寄与を別々に示した利得プロファイル4110の例のグラフ4100を示している。重なった領域の予備補正が不十分な場合、線4110で示されるように、全利得は目標とする利得の軌跡とならない。誤差を消すために、重なっていない領域を事前に補正してもよい。図41(B)は、全利得が目標とする利得と等しくなるように、重なっている領域および重なっていない領域を相補的に補正した利得プロファイルの例のグラフを示している。全利得は、次のように表すことができる。

ここで、G(θ)は目標とする利得であり、Ga(θ)/Gb(θ)は、生成カーネルのそれぞれ重なっている領域および重なっていない領域に関連する利得曲線、Aa/Abは、それぞれ重なっている領域および重なっていない領域の面積である。Gb(θ)≠G(θ)である限りにおいて、重なっていない領域における補正された利得の寄与を求めることができ、G'a(θ)は、

となる。そして、重なることを条件としない生成カーネルの領域の正しい形を見つけるため、数式(3)〜(5)を解く必要がある。重なっている領域4170および重なっていない領域4180の両方の補正領域の足し合わせ4160は、実質的に目標とする利得プロファイルと合致する。モリスによる反復設計方法とは対照的に、これは、固定された数のステップで最適な設計に到達する決定論的なプロセスである、すなわち、重なった領域における生成カーネルの設計、重なった領域における生成カーネルの事前補正、および重なっていない領域における生成カーネルの設計というステップである。] 図41
[0129] 上述したように、設計された生成カーネルを使用することにより、従来のシルバースクリーンで起きるきめの粗さの問題を、大幅に低減することができる。生成カーネルの各々が実質的に拡散面の全体に分布することから、散乱角が大きい場合であっても、統計的な変動に起因する大きな空間変動を大幅に防ぐことができる、すなわち、個々の生成カーネルそれぞれが、任意の方位角における強度に寄与する少なくとも二つの領域をもつ。]
[0130] ある形のノイズを加えることによって、拡散体表面の高さをランダム化することにより、再帰反射方向に近い場所で起こるコヒーレントなスペックルの問題に対応することが可能である。反射光の位相をスクランブルするため、このランダム化の振幅は、光の波長の数倍とする。]
[0131] 本開示によるスクリーンの実用的な利点及び実施に配慮した点として、単位面積あたり最低限のコストにすること、性能の空間均一性、製造工程において一貫した性能信頼性、並びに、取り扱い時およびクリーニング時の堅牢性が含まれる。]
[0132] スクリーン材料のコストは、既存のロール・ツー・ロールプロセスを可能な限り活用することで、低減可能である。最適化されたスクリーン材料のロールストックを製造するのに必要な基本設備には、マイクロエンボス加工、金属化処理、透明誘電体(ハードコート)コーティング、精密裁断、および(音響伝達のための)目打ちをおこなう装置が含まれる。現在、従来のニッケルシムに関連する(横断方向の)下向きウェブ(down‐web)の継ぎ目が発生しないロール・ツー・ロールエンボス加工プロセスがある。好ましい製造プロセスでは、継ぎ目のないエンボスドラムを使用したUVエンボス加工により、連続した拡散体材料を製造する。このプロセスによれば、細長い一片の材料(ストリップ)を接合することにより、拡散体のロールストックを簡単に最終製品のスクリーンへと加工することができる。精密なロール・ツー・ロール裁断をおこない、このようなストリップは、映画館において縫い目が実質的に見えない程度に十分小さな隙間をもって、突合せられ接合される。このような方法の場合、最終製品の映画スクリーンを製造するのに、バックエンド膜接合プロセスを利用してもよい。このプロセスによれば、スクリーンをフレームに搭載するまたはフレームに向けて引っ張る際に、十分な接合強度および信頼性が適用される。継ぎ目(および接合プロセスで影響を受ける周辺部分)は、観客が観察不可能な程度に十分に小さいことが望ましい。]
[0133] コーティング(例えば、メタルフレークを吹き付け塗装する)の前に、膜を接合する工程を行うことの潜在的な利点としては、光学的厚みのある層により、小さな構造を平坦化できるということである。実際には、接合部分に非対称な「段差」があることから、このようなスクリーンの継ぎ目は見えてしまうことが多い。高い鏡面反射のために、関連する巨視的なファセットは、光の角分散において大きな分布を形成する。(例えば、突合せ接合のように)接合部分全体が平坦である材料であれば、隙間がおよそ50ミクロンより小さいとき、及び、ほとんどの場合で100ミクロン未満の大きさであれば、継ぎ目は目立たない。エッジ形状をランダム化して接合部を隠すような工程がさらに実施された場合には、この隙間は大きくてもよい場合もある。]
[0134] ロール・ツー・ロール裁断を十分な正確性をもって実施できない場合には、被膜が形成されたストリップから最終製品であるスクリーンを製造する他の好ましい方法があり、この方法は、強度上の理由から材料を鉛直方向に吊り下げ、また、複数のシートを同時に裁断することにより、これらを突き合わせて接合するのが容易になる。これは、複数のシートを重ね合わせて、一つのナイフまたは、固定された間隔で設けられる一組のナイフを使用しておこなうことができる。この方法によれば、端が真直ぐになっていなければならないという制約が緩和されるが、バッチプロセスであるため、ロール・ツー・ロール裁断方法と比較すると労働力を要する。]
[0135] 裁断の後、適合するプロファイルをもつローラーを備える装置で局所的に複数のシートを動かす、または、一枚のシートを真空テーブルを使って平行移動させて材料全体を突き合わせることにより、二つのシートを突き合わせることができる。コーティングされた面が下向きになっている場合、接着、化学接合、溶接等のプロセスを含むいくつかの方法のうちの一つを用いて、複数のフィルムを接合できる。接着としては、紫外線硬化、電子ビーム、または様々な熱硬化プロセスを含んでもよい。化学接合は、溶剤またはドープされた溶媒を含んでもよい。溶接プロセスは、接合部に熱エネルギーをもたらす様々な手段を含み、好ましくはレーザーを含む。]
[0136] 突き合わせ接合に関連する表面領域が存在しない場合、接合強度を確かにするさらなる機械的支持構造を使用してもよい。例えば、T字型の接合部を形成する裏打ち材のストリップのようなものを使用して支持してもよい。裏打ちストリップの厚みおよびサイズは、最終製品の(引き伸ばされた)スクリーンの表面が、境界において均一となるように選択される。場合によっては、スクリーン全体を、例えば布地のような二次的な裏打ちストリップでラミネートして、強度および外観を改善することが望ましい。]
[0137] 本開示に係るより高機能なスクリーン設計では、拡散特性の局所的(位置に固有の)制御が必要となる場合がある。スクリーンの特定の場所のために用意された材料のロールを製造することにより実現してもよい。通常、このようなスクリーンは、拡散方向にバイアス角を伴い、ランバート的なスクリーンでは、領域の中心位置に(一次の)バイアスを伴う。]
[0138] スクリーンのストックが、ロール・ツー・ロールプロセスを使用して作成されており、ストリップが鉛直に吊るされていると仮定すると、局所的補正は、水平方向で行われる可能性が高い。シートのクロスウェブ(cross‐web)拡散プロファイルの設計は、シート間の境界線における拡散プロファイルに急激な変化が起きないように、断熱的に変更することができる。これにより、水平方向に準連続的に変化する最適化された拡散特性を有する非常に大きなスクリーンを実現できる。]
[0139] 上記のように製造されたスクリーンは、平面的な形になっているが、さらに、鉛直方向に湾曲したスクリーンと同様な性能をもつ。複合曲線(例えば、ドーナツ型)のスクリーンの有効性能は、上記のスクリーンを水平軸に対して曲げることにより達成可能である。これにより、大きな複合曲線のスクリーンを形成する際におこなわれる複雑な製造工程(例えば、フラット/フレキシブルスクリーン材料の背後の容積の真空を引くなど)を排除できる。]
[0140] 上記に開示された原理に従った様々な実施形態が説明されたが、これらは例示するために示されたものであって、限定することを目的としたものではない。したがって、本発明の広さおよび範囲は上記に例示された実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲および本開示から発生する均等物によってのみ規定されるべきである。また、有益な効果および特徴が上記実施形態で説明されたが、これらは、特許請求の範囲の適用を、上記効果の一つあるいは全てを達成するための工程および構造に限定するものではない。]
[0141] 明細書の各セクションの見出しは、37CFR1.77の忠告従って、または組織立てて説明する目的で、付されている。これらの見出しは、本開示から生じる特許請求の範囲に記載される発明を限定および特徴付けるものではない。特に、例として、見出しに「技術分野」とあるが、技術分野を説明するために上記で使用された言葉によって、特許請求の範囲は限定されるべきではない。また、「背景技術」で記載された技術の説明は、ある技術が本開示における発明の先行技術であるということを承認していると解釈されるべきでない。また、「発明の概要」に記載された内容も、特許請求の範囲に記載される発明を特徴付けるものであるとみなされるべきでない。また、本開示において、「一つの発明」という言葉は、新規性が一点しかないということを論ずるために使用されるべきでない。本開示から生じる複数の請求項の限定事項によって、複数の発明が記載され、このような特許請求の範囲は、発明およびその均等物を規定し、保護する。特許請求の範囲の広さは、本開示に照らし合わせて実態に基づいて考察されるべきであり、記載された見出しによって制限されるべきではない。]
权利要求:

請求項1
正面投影型スクリーンであって、予め定められた巨視的な散乱プロファイルを満たす複数の反射生成カーネルを含む構造化された反射表面を備え、予め定められた投影方向から前記正面投影型スクリーンの一つの領域に入射する光が、実質的に一回の反射を受けた後に、予め定められた拡散領域に向けられる正面投影型スクリーン。
請求項2
偏光保存正面投影型スクリーンであって、基板の少なくとも一つの表面上に配置された複数の反射微細構造を備え、前記複数の反射微細構造は、照明領域における複数の観賞位置に光を提供し、前記照明領域における多重反射事象を実質的に排除する偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項3
前記複数の反射微細構造が、前記照明領域における実質的に全ての観賞位置に光を提供する請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項4
前記スクリーンが、構造化された反射表面を含む請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項5
前記スクリーンが、偏光された光を反射する請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項6
前記スクリーンが、互いに直交する方向に偏光した少なくとも二つの光線を反射する請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項7
前記照明領域において、一つの場所からの見え方を最適化するように、前記複数の反射微細構造が配置されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項8
前記複数の反射微細構造が、トポグラフィを含む請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項9
前記複数の反射微細構造における微細構造のそれぞれが、当該微細構造間の二重反射を最小限にする統計モデルを満足するプロファイルをもつ請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項10
前記複数の反射微細構造における微細構造のそれぞれが、当該微細構造間の二重反射を最小限にする統計モデルを満足するように、他の微細構造の間に配置されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項11
前記複数の反射微細構造が、実質的に規則的な格子状に配置されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項12
前記実質的に規則的な格子は、六角形の格子を含む請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項13
前記複数の反射微細構造が、モザイク状パターンに配置されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項14
前記実質的に規則的な格子は、複数のランダム化された中心を含む請求項11に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項15
前記複数の反射微細構造のうち少なくとも二つが実質的に重なっている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項16
前記複数の反射微細構造のうちの少なくとも一つが、重なって隣接する反射微細構造から生じたオフセットを事前補正するように配置されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項17
前記複数の反射微細構造が、UVエンボス加工を用いて形成されている請求項2に記載の偏光保存正面投影型スクリーン。
請求項18
照明領域における複数の観賞位置に光を提供し、前記照明領域における多重反射事象を実質的に排除し、基板の少なくとも一つの面上に配置された複数の反射微細構造を備える偏光保存正面投影型スクリーンと、偏光符号化された光を前記スクリーン方向に提供する投影システムとを備える偏光保存正面投影システム。
請求項19
照明領域における実質的に全ての観賞位置に光を提供する偏光保存正面投影型スクリーンを提供する方法であって、予め定められた範囲の複数の観賞位置を含む照明領域を定める段階と、前記照明領域における多重反射事象を実質的に排除する複数の反射微細構造を提供する段階と、前記複数の反射微細構造を、基板の少なくとも一つの表面上に配置する段階とを備える方法。
請求項20
偏光保存すると同時に反射率を高める誘電体のオーバーコートを前記正面投影型スクリーンに塗布する段階をさらに備える請求項19に記載の方法。
請求項21
最適化されたスクリーン材料の製造済みロールストックの複数のシートを提供する段階と、前記製造済みロールストックの複数のシートを、当該シート間の継ぎ目が前記複数の観賞位置から実質的に目立たないように接合する段階と、誘電体のオーバーコートを、前記製造済みロールストックの接合された前記シート上に塗布する段階とをさらに備える請求項19に記載の方法。
請求項22
前記製造済みロールストックの前記複数のシートは、UVエンボス加工により提供される請求項21に記載の方法。
請求項23
最適化されたスクリーン材料の製造済みロールストックの複数のシートを裁断することにより形成された複数のコーティングされたストリップを提供する段階と、前記複数のコーティングされたストリップを鉛直方向に位置させる段階と、前記複数のコーティングされたストリップを互いに接続する段階とをさらに備える請求項19に記載の方法。
請求項24
複数のローラーを有するシステムを用いて、前記複数のコーティングされたストリップを互いに接続する請求項23に記載の方法。
請求項25
前記複数のコーティングされたストリップは、接着剤を用いて接続される請求項23に記載の方法。
請求項26
前記複数のコーティングされたストリップは、化学溶剤またはドープされた溶剤を用いて接続される請求項23に記載の方法。
請求項27
前記複数のコーティングされたストリップは、溶接プロセスを用いて接続される請求項23に記載の方法。
請求項28
補助的な裏打ちシートを提供する段階をさらに備える請求項21に記載の方法。
請求項29
前記最適化されたスクリーン材料の前記製造済みロールストックの前記複数のシートは、前記偏光保存正面投影型スクリーンの少なくとも一つの特定の場所専用に設けられる前記複数の反射微細構造の一部を含む請求項21に記載の方法。
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